SPP開催への想い

 

SPP初開催の2018年から早いもので7年が経ちます。

コロナ禍により2020年は中止になりましたが、2022年に2日程開催したので開催回数と経過年数の帳尻があっています。

 

ということで、SPP2025 は第8回目ということになります。

第10回目が見えてきました。

 

そうなると、SPPを知ってはいるけどなんで開催しているの?っていう人も増えてきたと思います。

少々長くなりますが、開催にいたる想いを綴った「SPP2021 OFFICIAL PAMPHLET」から抜粋して掲載します。


SPP開催への想い(2021年)

執筆:小西耕平/ジャグラー・コーヘイ

 

 このパンフレットをお手に取っていただいている方の中には当然「ジャグラー・コーヘイとは?」「こいつはなんなのだ?」と感じている方もいらっしゃるでしょう。なので簡単に自己紹介を。

 私は2007年よりジャグラー・コーヘイという名で札幌市を中心に、道内外でジャグリングパフォーマンスを行っています。その活動の中で札幌駅前通まちづくり株式会社に出会い、そして2014年に就職しました。現在も現役パフォーマーです。社員として働きつつ、パフォーマンスも行い、SPPのようなイベントで自身の経験・知識を活かしています。ちなみに普段は経理担当。

 

 さて、そんな会社員とパフォーマーの二足の草鞋を履く私がSPPの構想を練り始めたのは2017年秋のことです。きっかけは、札幌で長らく開催されてきたパフォーマンスフェスティバルがいよいよ終わってしまうのではないか、という状況でした。他所様のイベントですのでここで名称を具体的には出せませんが、年に1度の札幌唯一のパフォーマンスフェスティバルはたくさんの市民パフォーマーが集い、道外からゲストパフォーマーが招かれるビッグイベントでした。私も中学生のときから市民パフォーマーとしてたびたび出演しており、大勢の前でパフォーマンスすることのみならず、ゲストパフォーマーの卓越した芸を観ること、打ち上げの席でそうした方たちとお話できることなど、そのフェスティバルによって得られる様々な経験がとても刺激的であったことを覚えています。

 

 しかし、そのイベントは開催を重ねるにつれて徐々に「もう続けられないんじゃないか?」とまことしやかに噂されるようになっていったのです。深くは知りませんし、知っている部分についてもこれまたここで明かすことはできませんが、「これはもういよいよ本当に無くなるかもな」と感じたのが2017年でした。私はこのとき、市内ゲストパフォーマー枠で出演していました。当時すでにまち会社で働いており、いくつかの自社イベントの企画運営にも携わっていたこともあり、道外ゲストと市内ゲストの数組のパフォーマーの方たちから「来年からよろしく頼んだよ!」と、消えるかもしれないパフォーマンスフェス文化の再生なのか新規構築なのかを宴席で背負わせてもらいました。たぶん冗談だったでしょう。しかしこれが、SPPを立ち上げるに至る最初のきっかけです。じゃあSPPは他所のイベントの引継ぎのためにやっているのか、というとそんなことはありません。あくまでそれはきっかけにすぎず、SPP開催は札幌駅前通エリアのにぎわいのため、私が想うこのまちに在って欲しいパフォーマンスのため、そして市民が豊かで素敵な文化に触れ続けることができるよう立ち上げました。

 

 ゼロベースからすべてを創り上げていったわけではありません。すでに行われていたイベントや制度を活用し、SPPというパッケージへと組み合わせたような感じです。2011年から弊社が主催していたパフォーマンスライセンス制度「チカチカ☆パフォーマンススポット」によって札幌駅前通地下歩行空間の中でパフォーマンスが行われることが根付いていました。札幌駅南口駅前広場では「エキヒロcafé(現在はサツエキテラスへと改称)」という広場のにぎわいづくりのための企画が進んでいて、その中でストリートパフォーマンスも行われていました。それらはいずれも弊社が主催していたり関わっていたりするものでしたから、まちの中で行うパフォーマンスイベントのためのノウハウや各所との関係はすでに築かれていたのです。それだけでなく、全く違うイベントの開催・運営経験も、地下広場を利用するお客さんのイベントを担当した経験も、ジャグラー・コーヘイとしての経験も、すべてが活かされています。1年ちょっとで構想から実施にまで至ったSPPは、実際は十何年もの経験の蓄積によって形作られたものです。自分たちの蓄積だけではありませんね。先人の皆さんが切り開いた道があるからこそ、協力してくれる方たちがいるからこそSPPは開催にいたることができました。

 

 2018と2019の開催を振り返ると、2018年は開催初年度なうえに地震の影響が重なってとにかく大変でした。当時の自分が書いた報告書を読み返しましたが、よく自分頑張ったなと褒めてあげたいです。2019年は、大変すぎた2018を乗り越えたあとでしたし2年目ということでかなり余裕をもって開催できたように思います。程よく?雨に降られたことも今後の対応を考えさせるいい経験でした。もしまた本来の形で開催できるときがきたら、まずは2019年をお手本にして開催したいですね。

 

 そしてコロナ禍による2020年の中止を経て何とか1日だけの開催ができた今年、改めてパフォーマンスの持つエネルギーを感じ、SPPの開催意義を強く感じました。パフォーマーたちの生きざまが表れるその空間には間違いなく熱があります。その熱は観る人々に伝わって、新たなエネルギーを生み出します。それは感動だったり笑いであったり驚きであったり、人の心を動かすものです。私たちは心の揺さぶりによって元気にもなるし落ち込みもします。10月17日、あの会場にいたすべての人が間違いなく元気になったに違いありません。少なくとも私は元気になりました。コロナ禍だからこそ、中止が重なっていたからこそより大きく心を揺さぶられました。開催して本当によかった。

 

 惜しむらくは、もっともっとたくさんの方にあのステージをご覧いただきたかったです。会場はディスタンスを確保したためにあまり人数を収容できないし、何より変な人に目をつけられても嫌だなと思ったので積極的な広報をしていませんでした。結果的に来場者数はほどほどになり、ちょうどよかったといえばよかったのですが、それにしてもステージの素晴らしさに比して観客数が少ない。どうしてもコロナ以前の感覚からすると勿体ないと感じてしまいます。パフォーマンスを求める方に届けることだけでなく、たくさんの偶然通りかかった人がパフォーマンスを楽しめることが重要です。今回の会場では座席も立ち見ポイントもほんの少しだけでしたから、偶然楽しめた人も少しだけだったことでしょう。来年は、偶然の出会いが生まれる余地をもっと作ることが許される状況になっているといいなと願っています。

 

 複数の会場でパフォーマンスを開催し、まちに連動したにぎわいをもたらす。それがSPPの元々の理念の一つです。今、私たちは安易ににぎわいを生み出すことができません。これまでは如何に人をたくさん集めるか、言ってしまえば密をどうやって作るかを考えてきたわけですから、積み上げてきた経験の大前提を大きく覆されている状況です。コロナ禍が完全に終息することが最も望ましいことですが、いつ訪れるか分からないことを期待しても仕方ありません。以前と比べたら小さくて、生み出すにぎわいも経済的な効果も取るに足らないと言われるかもしれませんが、しばらくはSPPもその他のイベントもその時できる形で行うしかありません。私たちはその価値を「以前と比べて低いもの」と考えるのではなく、今このまちでできる最高峰の価値あるものとして胸を張って皆さんに届けたいと思っています。


2025の今、想うこと

「SPPの目標は?」と聞かれれば、「続けることです!」と即答します。とにかく続ける。どんな形でも、開催時期がずれようとも、小規模になろうとも続けることが目標です。続けた先で、まちの魅力として定着したり、パフォーマンスが好きになって全国あちこちに足を伸ばすファンが増えたりしたら素敵だなと思っています。

 

 誰もが観られる公共空間で行われるストリートパフォーマンスは「文化のインフラ」だと考えています。これはコロナ禍を経て強く想うようになった考えです。偶然通りかかった場所で生のパフォーマンスを目にすることができる。なんて素晴らしいことか。もちろんどんなパフォーマンスを素晴らしいと感じるかは人それぞれです。観てもいいし観なくてもいい。観たうえでイマイチだったなと思うこともあるでしょう。逆に、深く心に突き刺さって忘れられない、人生の新しい1ページになるということもあるかもしれません。通りかかったらなんかやっていて、足を止めて見入ってしまった。そんな経験ができる街がいいなと私は思うのですが、どうでしょう?

 

 今のところSPPは偶然の出会いを提供すると言うにはあまりにも小規模です。なので、できるだけ宣伝もしますし、とにかく開催を続けて時間軸の長さでカバーしようというわけです。SPPを毎年楽しみにしてくださっている方々をはじめ、駅前通を通りかかった人々、この地区で働いている人たちが「こんな素晴らしいパフォーマンスが札幌で観られるなんて!」と思ってくれるように企画していますので、これを読んでいるそこの貴方、ぜひ周囲にSPPのことを広めてください。何卒お願いします。

 

 そしてもう一つお願いがあります。どうか、SPPへのご協賛を長い目で続けていただけないでしょうか。金額が大きいと運営が非常に助かるのはそうではあるのですが、最小単位の1,000円でも「1人の協賛者」が存在するという事実になり、その存在があるかないかは事業存続に大きな影響を及ぼします。1万円支援してくれる方が30名いるよりも、1,000円支援してくれる方が300名いる方がいいのです。

(1万円支援してくれる方が300人いるならそれに越したことはないです。そんなに集まったら夢が広がりますね。)

 

 嬉しいことに、この数年のSPPでは北海道外の方からのご支援が多く寄せられています。ひとえに、全国で活躍する出演パフォーマーの皆さんの人気にあやかっての事象でしょう。本当に有難いです。そして札幌市内、北海道内にお住いの皆様からのご支援も誠にありがとうございます。地域の人々に愛されてこそのイベントです。どうかこれからも応援をお願い致します。

 

 もし、これを読んで、今年から応援してやろうかなと思っていただけましたら、その温かいお気持ちをどうかパフォーマーへ投げ銭を渡すような気持ちで、私ども主催にもお送りいただけますと幸甚です。

 

SPP統括:小西耕平/ジャグラー・コーヘイ